南関東・甲信ブロック合同企画展「カウンターポイント―それぞれの寄り添うかたち―」の関連企画として各センターの活動をご紹介します。
公募展の継続と幅広いサポートに向けて
ザワメキサポートセンター(長野県障がい者芸術文化活動支援センター)
作品の向こう側にある「モノガタリ」を見つめる
2016年から2019年まで長野県、長野県教育委員会、ザワメキアート展実行委員会主催で開催された公募展「ザワメキアート展~信州の障がいのある人の表現とアール・ブリュット※~」では、応募の中から毎年20名を展覧会で紹介。実行委員等が作家の取材に行き、作品の背景にある制作の様子、本人の想い、家族や支援者との関係などをまとめ、それをもとに審査を行っていた。また、近年、「アール・ブリュット」として紹介されることが増え、一括りにされてしまいがちな「障がいのある人の表現」を改めて見つめ直し、展覧会を通じて一人ひとりの表現が、生きる力や幸福に繋がり、鑑賞する人を感化するアートとしての底力を持っていることを伝えている。
2021年には、これまでの入選作家80名による展覧会を開催。特設ホームページではWEB展も行い、展覧会や作品を紹介する動画も公開している。また、出展作家の作品に加えて取材を元に実行委員が作成した作家紹介文も作家毎に掲載している。作家によっては展覧会終了後も作品の管理や展覧会の出展などのサポートを行っている。
※生の芸術…1940年代にフランスの画家、ジャン・デュビュッフェにより提唱された考え方
審査会の様子(2019年)
展覧会の様子(2021年)
教育機関との連携
2018年より教育機関への働きかけに力を入れ徐々に学生の応募が増えた。18歳以下の応募については、2016年は6名だったが、2019年には34名に増加した。2020年アーカイブ集制作時に学生の支援を行っている教員の座談会を実施し、ザワメキアート展入選による本人や家族の「マナザシ」の変化を共有している。2022年からは、県内の障がいのある児童・生徒の表現活動を応援する「ザワメきっずプロジェクト」を始動させた。
ザワメキアート展の継続
展覧会の様子(2019年)
2022年に本事業の助成を受けて、支援センター「ザワメキサポートセンター」が設置された。ザワメキアート展の事務局を担っていた長野県社会福祉事業団が支援センターを運営し、ザワメキアート展を継続し、障がいのある方や、その支援をされる方への幅広いサポートを目指している。
ザワメキアート展を通して浮き彫りになった課題が多くある。アーティストの発掘、アート活動を行う支援者の育成やその土壌作り、作品の著作権や保管貸出など。関係各所とのネットワークを構築し、地道に課題解決に取り組んでいきたいと考えている。
ザワメキアート展 ホームページ
https://zawameki-art.com/