南関東・甲信ブロック合同企画展「カウンターポイント―それぞれの寄り添うかたち―」の関連企画として各センターの活動をご紹介します。
千葉県でのネットワーク構築を目指して
まあるい広場(就労継続支援B型事業所)× 千葉アール・ブリュットセンター うみのもり
つながりをネットワークに
2019年度から千葉アール・ブリュットセンターうみのもり(以下、うみのもり)が開設され、県内にある4つの団体が中心となり、つながりを活かして県内にネットワークを構築している。福祉施設へのアプローチとして、かねてから交流のあった団体と連携しながら普及に向けて活動。なかでも、「まあるい広場」は長年関わりがあり、情報共有や人材の紹介などを行う。2021年7月に開催した研修会では、「まあるい広場」の高本涼子氏が登壇し、利用者との日々と作品を通じて、豊かでおおらかな時間を過ごしている様子について、また、「一人ひとりの違いを認めること」や「一人ひとりと時間をかけて向き合っていくこと」といったキーワードのもと、アートの幅を広げる支援者の眼差しの大切さを学ぶ機会となった。2023年には「うみのもり」が主催の展覧会が「まあるい広場」のギャラリーで計画されている。
研修会のチラシ
2022年6月には、「うみのもり」が携わった教育機関、福祉施設によるマルシェに「まあるい広場」も出店し、オリジナルグッズを販売した。このイベントでは福祉施設のグッズ販売に加えて、近隣の中学校の美術部によるライブペインティングやワークショップも開催。キッチンカーの出店や大道芸のパフォーマンスもあり、芸術文化に親しみ、子どもから大人まで楽しめる機会を創出している。
マルシェのチラシ
一人ひとりの役割を活かした ぬくもりの手仕事
まあるい広場
障害がある子どものお母さんたちとボランティアで行っていた遊びのサークルが基盤となり、1994年に千葉市美浜区で開所。一人ひとりの役割を大切にし、当初から和紙制作の仕事を分担して取り組む。2006年には現在の場所に移転。千葉市より民家と蔵を借り受け、和紙作りの工房を敷地内に新築した。また、蔵をギャラリーとして改修し、定期的に展覧会を開催するだけでなく、外部の作家も利用できるよう整備した。さらに、通りに面した場所にはショップも開設し、オリジナルグッズを販売している。この頃、以前の施設でも絵を描いていた桝本吉隆さんの作品が画廊の目に留まり、展覧会に出展する機会を得る。この経験が支援員の視点を変え、「他の利用者の絵や縫いなども作品や製品に活かせるのでは?」という想いが芽生え、アートを取り入れるきっかけとなり、和紙に絵を描き、製品に加工して販売するなど、一点物のもの作りに活かしている。一人ひとりの役割を大切にしてきた仕事の基盤を大切にしながら、個性や独自性が発揮できる環境を整えることで、アートに取り組む人も増え、和紙制作から始まった仕事は手織り、刺繍、染め物、縫製などに広がっている。
施設外観
和紙工房
温かみのあるグッズが並ぶショップ
アトリエの様子
まあるい広場
https://tsukumokai.org/maarui/