福祉分野における相談事業とは何か
~対話から相談の背景を「見立て」、「手立て」につなぐために~
■開催日:2021 年 10 月 12 日(火)14:00 ~ 16:00
■会場:オンライン
■参加者:25 名(ブロック内支援センター、県職員、厚生労働省)
■講師
梅田 耕(社会福祉法人みぬま福祉会)
社会福祉法人みぬま福祉会川口市障害者相談支援センターみぬま主任相談支援専門員、特定非営利活動法人埼玉県相談支援専門員協会代表。代表を務める協会では、相談支援に携わる人に必要な知識や専門性向上のため研修事業などを展開し、障害者の地域生活の向上を目指す。
■内容
相談支援者のスキルアップ事業を展開する梅田耕氏を講師に迎え、相談支援に携わる人に必要なスキルや知識、考え方などについてレクチャーを行いました。
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自身も相談支援の専門員として日々実践を積み重ねている梅田氏。まず相談支援に求められているのは、単なる情報提供に留まらず、相談内容を解決するための「手立て」(手段)を考えることである、といいます。そのためには、相談の真意がどこにあるのか、相談者との継続的な対話の中から理解・解釈し、仮説を立てるなどして、その背景にある情報を整理し、「見立て」る必要があります。過去にあった事例では、「絵を描きたい」という相談を、さらに掘り下げて話を聞いた結果、実は絵が描けない理由は、家族の理解不足が発端だったという事例がありました。つまり、絵画教室を紹介することよりも、家族の理解を得ることや経済的な支援などにつなげることが、より根本的な「手立て」を提示することになるのです。
相談支援員に求められるものとして、①指針や目的、規範となる「価値観」/②視点や法制度、さまざまな資源に関する「知識」/③それらを活用するための「スキル」の3 つを挙げました。「見立て」るための対話・記録のスキルに始まり、具体的な「手立て」を見つけるためには、提示できるさまざまな情報、場、機会などを知ることや、つながりを持つことも重要です。相談者のニーズと社会資源(特に、まだ障害者とのつながりのない資源)の橋渡しをすること、あるいは資源自体を自らつくり出すことができる能力が、どちらも相談支援に携わる者に求められているといいます。
さらにレクチャー後半では、「相談支援の種別・役割・体制」として、市区町村、都道府県単位での相談支援の重層的な構造について、図解を交えて解説がありました。
<参加者からのコメント>
・相談者が「したい」「知りたい」ということへの情報提供で終わってしまう場合が多い。背景をきちんと聞くことで、その方が求めていることにたどり着き、手助けとなる支援ができればと思いました。
・相談者の背景が多様であり、アート活動よりも生活を整える方を優先した方がいいと思う相談者もいる。福祉のシステムを知っておくことも大事だと痛感しました。
・障害者支援の体制を改めて理解することができました。相談に携わる人が芸術文化活動のことを理解することが大切だと、再認識できました。
・障害のある方の芸術活動についての相談を、芸術の観点からだけでなく、やはり福祉的な観点からも見て総合的に判断することが大切だと感じました。
(構成:坂本のどか)